コラム:片づけのプロはモノを通して変化を及ぼす(その2)

(前回からつづく) 人とモノとの関係性というテーマで、コラムをお届けしています。   モノには、人を幸せにする力もあれば、マイナスをもたらす力もあります。 プラス・マイナスいずれの方向にも、パワフルな影響力を持っているのが「モノ」ですが、 それはあくまで、モノが人と出会った時に起こる「化学反応」のようなもの。   モノ自体に善玉、悪玉が存在するわけではなくて、 人とモノとの関係性において起こる現象なのです。   だから人がモノへの考え方を変え、執着を手放すことができれば、マイナスを 手放してプラスだけを残すことも可能となり、人生も好転し始めるでしょう。   お片づけのプロ、プロフェッショナル・オーガナイザーの仕事は、単純な片づけ作業を「媒介」として、 クライアントの人生に転機をもたらす可能性を有しています。   私、吉島智美が関わってきた現場でも、数々のドラマが生まれ、変化の瞬間に 立ち会ってきました。   クライアントとモノとの関係、家族関係、そしてライフスタイルと、片づけが 徐々に変化をもたらしているのを目の当たりにしていると、「人とモノとの関係性」は ある意味、私のライフテーマと感じます。   ここで前号に引き続き、アメリカの著名なオーガナイザーである、 ピーター・ウォルシュさんのインタビュー記事からの引用文をお届けします。   「私がよく目にする問題の一つは、「もっとたくさん」「もっと上に」がより良いとされる 社会の中で生きる事によって、潮の流れに逆らって泳がされているということです。   これが、私たちがなぜ、今日金融危機に陥っているのかという問いに対しての理由です」   アメリカは世界一の大量消費国であり、アメリカンドリームの国でもあります。 最近は金融危機の影響が薄れつつあるようですが、大量消費への欲求がメディアに あふれているような状況では、シンプルライフを志向するのは難しいでしょう。   2008年に起きた金融危機は、分野こそ違えど、「もっともっと」と増大し続けたマネー資本主義の 限界を示すもので、より多くのモノを求め続けることへの警鐘とも受け取れます。 そう考えると、金融危機はライフスタイルを見直すよいきっかけだったのかもしれません。   「オーガナイザーが現場でクライアントに、モノを 『自分の思い描く人生を作り出すために手助けする道具』として見ることをサポートすると、 モノはあらゆるレベルで違った見え方をします。   モノの量だけでなく、その人の人間関係や人生そのものまで、見えてくるのです。 私にとってはそれが、追う価値のあるゴールであり、オーガナイズ(片づけること)なのです」   私も、全く同感ですね。 現場に入ると、モノを通してその人の人間関係や人生が透けて見えてきます。   私は、自分からモノと人生との関係性をことさらに説くことはありませんが、 クライアントが自分で気づいたタイミングで、それとなく話すようにしています。   皆さん、目からウロコだった、と言いますが、私がお片づけを続けている本当の狙いは、 このことに「自分で」気づいてもらうことにあるのです。   ウォルシュさんは、こうも書いています(少々意訳です)。   「モノにフォーカスして片づけると、オーガナイザーもクライアントも、 ひどい目にあうことになります。 モノではなく、これまでの人生とこれからの人生にフォーカスするのです」   面白い表現ですね。言い得て妙というような。 確かにウォルシュさんの言うように、お片づけのプロのサービスを、単なる 「モノを動かす片づけサービス」と考えると淋しい気がします(笑)。   そろそろ日本でも、「片づけ=人生を変えること」という認識が徐々に認められてきました。 私自身、心から「モノはその人の人生そのもの」と感じながら現場を見ています。 なので、現場が面白くてたまりません。   それは、映画を見ているかのように、モノを通してその人の人生を見ているからなんですね。(つづく)   吉島智美(2010/01/28)
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