「CD」と「SD」について(その2)

前回のコラムでは、「CD」と「SD」の違いについて、概略を説明しました。

復習しますと、「CD」は“Chronic Disorganization(慢性的に散らかっていること)”の略、

「SD」は“situational disorganization”、周辺の状況や環境が原因で片づかない、を意味します。  

クライアントが「SD」(周辺の状況や環境が原因で片づかないタイプ)なら、オーガナイザーとしての

一般的なノウハウを提供することで解決することが出来る。

しかし「CD」(慢性的に散らかっているタイプ)の場合、異なるプロセスからのアプローチが必要 となる、というのが前回の要旨でした。  

では、「CD」クライアントに対しては、どのようなアプローチが必要なのでしょうか?

前回に引き続き、アメリカのオーガナイザー、デビー・スタンリーさんへのインタビューを参考にします。

 

彼女によると、

「CDクライアントはSDとは異なり、彼らの家やオフィスのどこから手をつけるかでさえ、手引きが

 必要。そして、新しいアイデアを学び、新しい習慣を身に着けるのに多くの時間を必要とする」

とのこと。

 

つまりCDクライアントの整理整頓を手伝う場合は、オーガナイザー側も、それなりの覚悟と時間が

必要、ということになります。

 

オーガナイザーが、クライアントと長期にわたって付き合えるかどうか自問し、かつクライアントにも、

それだけの時間と費用の負担が可能かどうかを確認しておく必要がある、ということだと思います。

 

そしてデビーさんは、CDタイプのもうひとつの大きな特長についても言及しています。

「CDクライアントはしばしば、罪悪感や羞恥心を持ち、オーガナイザーと対話し作業することが、

 感情の引き金を引くことになる可能性があります。

 オーガナイザーは、彼らの表情に現れる感情に、適切に応える準備が必要です」

 

 CDタイプはオーガナイザーと出会うまでの間に、家族や他人から侮辱されて落ち込んだり、

「自分はダメ人間だ」と自分を責めたりして、心が傷だらけ。

 

オーガナイザーの話の内容によっては、彼らの感情が大きく揺れ動く可能性があるので、その準備を

しなさい、という意味だと私は受け取りました。

 

そしてデビーさんは、こうも言っています。

「CDクライアントへ真に共感するためには、CDは性格の欠陥ではない、と信じなければなりません」

 

 本人に欠陥がある訳ではない、時間をかけて問題に取り組めば、CDタイプだって必ず片づけられる

ようになる、と、オーガナイザー自身が信じてあげないことには、何も始まりません。

 

 これまでの経験から、私にはこのコメントがとても響きます。

 

彼らは多くの場合、自分を責めているので、私はまず、彼ら自身の問題ではなく現在の環境か、

過去の苦い思い出を避けるために、「片づけない」という行動をとっている可能性を指摘します。

 

すると、それだけで癒やされ涙を流す人がいます。

また、オーガナイザーの指摘に対し、ムキになって否定する人もいます。

デビーさんの言うように、涙や怒りといった感情が出るのです。

 

慣れないうちは、私も相手の感情に流され、倍ほど疲れて帰ってきました(笑)。

今思えば、相手の揺れ動く感情を見守り、落ち着くのを待って速やかに本題へと戻るべきでしたね。

デビーさんのコメントを、あの時知っていたらな、と思います。

 

実際にCDタイプの部屋を整理整頓する場合、時間がかかるだけでなく、それ以上の覚悟も必要です。

なぜかといえば、勘の鋭い方はお分かりでしょう。

 

そうです。

ひどく散らかっている上、衛生的にも汚れている場所で作業するかどうか、決断しなくてはなりません。

 

実際、NSGCD(アメリカの、“CD”専門に研究しているグループのこと、現在はICDと改称)の

ウェブサイトには、“the Clutter-Hoarding Scale”という、CD度合の激しさを示す「ものさし」が

掲載されています。

 

ひどいところでは、家の中に「ペット」以外の「動物」が生息しているような状態まであるそうです

(さすがに日本では、ここまではないだろうと思っていましたが、日本でもハクビシンやアライグマが

 床下に住み着く事例があるようですね)。

 

もちろんオーガナイザーには、重度のCDクライアントを「断る」自由もあります。

 

デビーさんは、

「CDタイプを断っても悪く思わないで。他にあなたが活躍できるフィールドはたくさんあるのだから」

とも言っています。

 

吉島智美(2009/05/12+加筆)


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