『ドアを開けたらビックリ!』こんなとき、どうすればいい? CD対応(その2)

前回のコラムの続きです。  

「慢性的に片づかない」クライアントの呼称、

「CD」“Chronic Disorganization(慢性的に散らかっていること)”について、

具体的にどんなに「スゴイ」のか、という話と、

「スゴすぎて」避けるべきなのか、それとも向き合うべきなのか、

という問題定義をしました。

 

アメリカのベテランオーガナイザーは、

 

「オーガナイザーとして真摯にキャリアを積むつもりなら、CDに向き合ってみよう。

ただし、心構えが必要」

 

と意見しています。

 

では、どのような心構えが必要なのでしょうか。

キャサリン・アンダーソンさんは、   「それまでの経験や技術を駆使して、通用しないと分かったとしても慌てず、 別の対処法を見つけること」   「あなたが意識しなくても、あなたがクライアントを傷つけること、感情的に ダメージを与えることも起こりうる。更なる混乱や逆行を招くこともある」   「正しい知識と経験がないと、あなたの健康と安全を危険にさらす事も起こり得る」   などと、ドキッとするようなことを言います。   これを私流に解釈しますと、   1番目は、オーガナイザーとしての経験が通用しない現場に入ったときも、混乱を 最小限に抑え、一切の思い込みを手放し、別の方法を考えましょう、という意味。   2番目は、言葉の使い方や、指摘のストレートさによっては、クライアントが 傷つき、ますます片づかなくなることもあるので、注意を払うように、との意。   3番目は、色々と想像できて怖いですが(笑)、ここは簡単に考えます。たとえば、 あまりに散らかっている上に床板が腐っていたりすると、アメリカの場合、野生の アライグマが侵入し住み着くこともある。彼らの中には凶暴な個体もいることを 知らずに手を出すと、大怪我をする。   そんなことも踏まえて、CD対応でどんなことが起こるのか、ある程度の知識は必要だと、 注意喚起しているのだと考えます。   2番目に関し、私も何度か、ある「収納のプロ」に人格を否定されるようなことを言われ、 傷ついたクライアントの相手をしたことがあります。   クライアント側にもささいな事を気にしすぎる傾向がありましたが、オーガナイザーとして接する 側も、言葉遣いには十分留意する必要がある、とその時は思いました。   オーガナイザーとして、ビジネスとして、CDクライアントと向き合う前に準備できること として、キャサリンさんはいくつかの可能性を示しています。   「まず初心に戻り正直に、状況の査定に、残酷なまでに正直になって下さい。 あなたに異なる視点を与える事のできる、教育と経験を積んだ同僚と、あなたの 評価について議論してください。」   これは前にもあったように、まず一切の先入観を捨て、現場で起こっていることを 冷静に観察すること、その結果あなたの下した判断・評価について、知り合いの オーガナイザー仲間と議論することを勧めていますね。   私も、これまでは自己流で進めてきましたが、仲間に相談していくことの大切さを 確認できました。こういう時こそ、普段の「横つながり」が効力を発揮するんですよね。   「あなたの活動範囲にいる、クライアントの要望にこたえられるセラピストやカウンセラーの ような人材についてリサーチしておきましょう。医療サポートグループや、犯罪現場を扱う 清掃業者(知識と、生物学的または他の危険な物を処理する為に、宇宙服のようなアイテムを 持っている業者)に至るまでです。」   後半にまた、凄いことが書いてありますが(笑)、相談相手となる、セラピストやカウンセラー との繋がりを作っておくといいですよね。   クライアントとの対話の中で、深い悲しみや無力感を読み取ることが出来たなら、 カウンセラー的な接し方のほうが、クライアントと信頼関係を構築するのに効果的な ケースもあります。   「片づける事に影響する慢性的な混乱、例えばADHD(発達障害)、TBI(外傷性脳障害)、 発作、気分障害、深い悲しみ、不安障害、強迫性障害、貯めこみ癖、 その他の神経的な病気について、学んで下さい」   「健康状態が、片づけにどのように影響するか学んで下さい」   など、他にも興味深い提案がありました。全部説明しきれないのが残念です。   2009年現在、日本ではCDクライアントについての、十分な理解と対処法が ほぼ存在していない状況です(2013年現在も、一般的とは言えません)。   メディアで「片づけられない女」などと取り上げられても、ほとんどが興味本位な次元 でしか扱われず、本当に大切な深い洞察や根本的な解決策へのアプローチは、 現状で皆無といっていいでしょう。   確かにCD対応は大変ですが、整理のプロとしての常識をいったん手放し、原点に戻って クライアントの内面を探る、格好のトレーニングにもなり得ます。   少なくとも私の場合、CDクライアントは大きなハードルでしたが、それを越えたときは、 オーガナイザーとしてのキャリアが一気にレベルアップしたように感じられました。   CDクライアントに出会ったら、「来たぞ!」と身構えるのと同時に、自分を 一回り成長させてくれるハードルが来た! とも考えることもできるでしょう。   この仕事に関わっている以上、いつかはCDクライアントがやってくると考えていた方が いいでしょう。   来るべき「その日」に備え、自分に彼らを受け入れる準備が出来ているかどうか、 時々チェックしてみてくださいね。   吉島智美(2009/06/23+加筆)
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