「オーガナイザーの『完ぺき主義』」(その1)

今回のコラムは、お片づけのプロを目指す人、なりたい人向けに書いています。

 

あなたは、片づけについて周囲の人に話していることを、

ご自身も実行していますか?

 

自宅の整理収納は完ぺき、スケジュール管理もバッチリ。

家族も自分と同様、余分なモノを持たず、キレイに片づける習慣が出来ている。

オーガナイザーとして、いつ客が訪れても恥ずかしくない状態を、保っている。

 

あなたが、そのような存在を目指しているとしたら、少し肩の力を抜いた方が

いいかもしれません。

    プロとして、オーガナイザーとして、完全な存在でありたい、目指したい。   クライアントに、より上質なサービスを提供したいと考えると、   「自分は修行中」   とみなすようになり、ストイックな環境の中に身を置きたくなりますよね。   その気持ち、とってもよく分かります。     「お客さまに勧めているのだから、自分も完ぺきにならなくちゃ」   と考えるのは、誠実な人間であるなら、当然のことと思えます。     しかし、この考え方、つまり「完ぺき主義」には、落とし穴があります。     自分が完ぺきに近づけば近づくほど、自分とクライアント、自分と家族との間に 目に見えない大きな溝が生じていくのです。     「完ぺき主義」に陥ると、自分の基準を無意識に、他人にも求めてしまいます。   整理・収納に興味のない家族にとって、ただでさえ厳しい基準が どんどん上がっていくのは、とても苦しいこと。   最初は協力的でも、次第に、ついていけなくなります。     クライアントに高い基準を押し付けることは、さすがにしないでしょうが、 無意識に高めの基準を勧めたくなり、クライアントが消化しきれない収納法を 提示してしまう可能性はあります。     クライアントの考える優先順位は人によって異なります。   多くの人はまず、   「今よりも自分の周囲を快適にしたい」   と思っています。     そして、その次に   「快適な状態を、出来るだけ長くキープしたい」   とも思っています。     散らかっている環境で暮らしてきた人は、ある日突然家が 「スッキリ」すると、戸惑います。   部屋のスッキリは気持ちよくても、「片づける習慣」は、 すぐには身につかないからです。     片づかない人の「お片づけデビュー」では、それまでの生活よりもひと手間、 多くとも、ふた手間かかる程度の「スッキリ」にとどめておくのが、 無理のない「お片づけの提案」です。     たとえばダイエットも、いきなり「断食」からはじめては、数日でギブアップ してしまうでしょう。     まずは、それまでの生活習慣に出来るだけ近い方法、つまり カロリーを押えた食事を規則正しくとる習慣になじむことからスタートするのが、 無難な方法ではないでしょうか。   片づけも一緒です。     ところが、プロ予備軍が「完ぺき主義」にとらわれていると、ついつい、 「もうワンランク上の『スッキリ』」を、クライアントに提案してしまいがち。     いくら「スッキリ」を希望されても、   「クライアントが日々、無理なく片づけられるかどうか」   に十分留意してあげた方が、サービスの満足度は高くなります。     リバウンドする可能性が、格段に低くなるからです。     自分に「完ぺき主義」の傾向があるな、と感じる方へ。   整理収納サービス中、もしくは自宅を片づけているとき、次の質問を 自分に投げかけてみてください。     「クライアントは、または家族は、この『スッキリ』を維持できるだろうか」     そして、少し疑問を感じたら、クライアントや家族に、 自分の感じたことを正直に伝えてみてください。     「リバウンドしない収納の仕組み」のヒントは、 相手とのちょっとしたコミュニケーションから、生まれるのです。     次回は「完ぺき主義」について、アメリカのオーガナイザーがどう考えているか、 を見てみましょう。   吉島智美(2009/07/07+加筆)
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