2013/12/31 | カテゴリー:“お片づけのプロ”の日常, お知らせ
オーガナイザーの「完ぺき主義」(その3)
前回・前々回と、オーガナイザーが陥りがちな完ぺき主義をテーマとしています。
前回はアメリカのオーガナイザーのレポートから、こんな見解を紹介しました。
「オーガナイザーだって人間だから、失敗もするし、ずっと完ぺきではいられない。
遅刻したり段取りが悪かったりしてもやむを得ないところはある。
ただし短時間で、元通りのプロフェッショナルな立場に戻れるようにしておくことが、
プロとしての心構えではないか」
引き続き、マドレーヌ・デニトさんのレポートから引用します。
「私たちはプロとして、成長と反省の時間を作る必要があります。
お客様と一緒に仕事をし、時には彼らが最も便利なようにと努めるけれど、
自分自身のためにも、十分な時間が必要なのです。
時には依頼を断ってもいいのだ、という事も思い出す必要があります。
自分自身を保てないで、どうやってお客様に良質なサービスを提供できますか?」
オーガナイザーという仕事は、日本でも今後急速に発展していくと考えられますが、
仕事が次々来るようになると、無理をしがちになります。
体に負担となる過密スケジュールを組むことも、一時的には必要なときもあります。
しかし無理のあるシステムは永続的といえず、どこかで見直す必要があります。
たとえば業務報酬を安めに設定すると、注文が殺到することもあり得ます。
しかし安い報酬と過密スケジュールの組み合わせでは、体力を消耗し健康を害すること
につながりかねません。
ですから短期的・戦略的に料金を下げることはあっても、
長期的には自分の首をしめることになる、と考えた方がいいでしょう。
またクライアントによって、自分の仕事がうまくいく時もあれば、いかない時もあります。
他のお客さまには好評だったサービスが、別の方には不評だったりすると、意気消沈し、
今後の方針に迷うこともあります。
もちろん、様々なクライアントがいるので、彼ら全員を満足させることは出来ないし、
その必要もありませんが、そんな時は少し仕事を休んでみたり、仕事仲間に相談したり、
セミナーに参加してみるのもいいでしょう。
問題が起こったときは、自らを成長させるヒントがそこに詰まっていることが多いもの。
頭を切り替えて他の仕事に向き合うのも良いですが、
目の前の問題に正面から向き合っておくことも、おすすめです。
マドレーヌさんは、こうも言っています。
「私たちは自分の技術や、身体的、感情的な事に自信を持つため、自分自身の声を
聞かなければなりません。ひどく疲れている時は休むべきです。
(中略)時間を浪費し、幸福感を感じない状況にある自分自身に気が付いたら、
その状況から立ち去るべきです。そして、依頼に応じられないと気付いた時、
責任を取るために失敗し、結果として他の人に不便や迷惑をかけるより、
クライアントの依頼を拒絶するほうがいいという事を、覚えておいて下さい」
これは、体調不良のケースや、心配事があって仕事に集中できないケースのことを指している
のだと思われます。また、自分には受けきれない、と判断した仕事については
(CD{慢性的に散らかっている}クライアントなど)、勇気を出して断る必要もあるでしょう。
クライアントにとって、途中で中途半端に放り出されたり、
「プロに頼んでも、ダメなんだ」と更に落ち込む結果になるよりは、事前に断られる方が
傷つかないで済む、という側面もあります。
私も、仕事を始めた当初は、「色んなクライアントに受け入れて欲しい」という思いで、
無理して仕事を受けていた時期もありました。
しかし、合わない方と仕事をしていると歯車がかみ合わず、お互いにストレスになるんですよね。
今では、
「私には他にたくさんのクライアントがいるし、この方にも相性の合うオーガナイザーが、
いつかきっと見つかるだろう」
と割り切ることで、無理をしてまで受注しないようにしています。
マドレーヌさんは、レポートをこう締めくくっています。
「プロフェッショナル・オーガナイザーも人間です。
時々私たちは、自分自身のバランスが傾いている事に気付くでしょう。
これは、全く普通のことなのですが、その時、どう反応するかが問われるのです」
自分のバランスって、自分にはよく見えません。
定期的に整体士さんにみてもらうなどのほか、普段から家族や友人とのコミュニケーションを欠かさず、
彼らに変化を指摘してもらう、のもいいかもしれません。
吉島智美(2009/09/12+加筆)