お片づけのプロとクライアントの幸せな関係(その4)

「部屋ではなく人を見る」を地で行くオーガナイザー、マリリン・エリスさん のレポートの4回目です。   エリスさんとクライアントのヘレンは、モノの選別作業をしていました。 スムーズで順調な作業が、古く完全にへたった枕の登場で、一気にスピードダウン。   その後、どうなったのでしょうか?   「彼女はついに答えました。『この枕、祖母が鶏の羽をむしって作ったのよ』  なんと、手作りの枕! その瞬間私の頭に、ギンガムチェックのエプロンを  つけた女性が農家の土間で、鶏の羽をむしっている牧歌的な光景が  思い浮かびました。  私は、彼女のジレンマを理解しました。家族の宝物だったのです」   鶏の羽でできた枕とは、またすごいモノがでてきましたね。エリスさんじゃなくても 「大草原の小さな家」や「赤毛のアン」の世界を想像してしまいます。 ただの古びた枕にしか見えないモノには、家族の思い出が詰まっていたのですね。   こうなると、「目の前のモノを処分してスッキリ」という選択肢はなくなり、別の物の 選別に移る ・・・・・・というのが普通の発想です。   しかし、そこは百戦錬磨のオーガナイザー、エリスさんです。 クライアントがこだわりを見せるモノには、感情が詰まっています。 その感情にどう寄り添うか、オーガナイザーの人間性が試される場面です。   「私は励ますように、そして笑みを抑え気味に言いました。    『これはあなたの子供時代と、おばあさんの思い出なのね。   長い間この枕を持ってきたし(ヘレンは70代前半)、今後も持ち続けなきゃと   感じているのね。   あなたがこの枕に感じていること、よく分かります』」   驚くべきエピソードを聞いたのち、エリスさんはまず、相手の気持ちに 共感していることを伝えています。   相手の意見を受け入れた上で、次に、お片づけのプロとしての意見 を伝えることになります。   「『でもね、私ねえ、別のことも思い付いちゃったの。聞いてくれる?  この枕はずいぶん古いし汚れているから、おそらく鶏の羽に、虫だの菌だの  が無数についているんじゃないかしら?』    次の瞬間、ヘレンは叫び声をあげ枕を放り出し、うず高く積まれた“処分するもの” の山に投げました。私達は一緒にどっと笑って倒れ込みました。    この出来事をきっかけに、私たちは今日に続く、深く信頼し合える仲に なったのです」   相手の意見を受け入れた後、きちんとプロとしての見解も伝える。その結果、 オーガナイザーの意見に納得すれば手放すし、納得できない場合は残す。   クライアントの選択がどちらになるかはわかりませんが、お片づけのプロ側の意見が 受け入れられるのはうれしいものです。   このようなやり取りを続けているうちに長く続く信頼関係が出来上がっていくんですね。 このエピソードを読んで素敵だなと思いましたし、私も幸せな気分になりました。   次号も、エリスさんとヘレンさんとのやりとりが続きます。
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